2018年05月23日

蓮華なんて知らない

七十歳の私が大学を卒業した四月、浜松に居た
若々しい私はバイクに乗って浜名湖の田舎に営業に行った
新入社員は車がなかった。
ふと周りを見ると一面花が咲いている。
なんてきれいなんだ
見渡すかぎり 花だ
故郷の越後では見たことがない。
暗い越後
それと正反対の東海の田園
わたしはバイクを停めて花畑に入っていった。
西洋のような気分で花を摘んだ・
うれしかった
会社に帰ったら裕子に見せてやろう
”花畑があったんだよ”
どんなによろぶだろう
私は意気揚々と支店の通用口を開けた。
花を持った左手を彼女に差し出した。
後に妻になる裕子は 不思議そうな顔をした。
どうしたの
一面の花畑があったんだ。
「これ」
「蓮華でしょ」「めずらしくないわ」
見た事がなかったの?」
一緒に耕して肥料にするのよ」
新潟ではないよ」

くそ越後め 恥をかいた

裕子は空き瓶に蓮華を差して
デスクに飾った。
今 浜松に支店はない
裕子は39歳で天国に逝った
俺はひとり のこった
♪ 蓮華の花が〜
越後でこの唱歌を歌った事がある 歌の中だけ
〜 たき火だ たき火だ 落ち葉たき〜
この風景も越後では無い なぜならもう氷雨の冬だから






posted by 花蓮 at 08:25| Comment(0) | 日記
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