2020年01月27日

 鎌倉幻視 湘南モノレール (その二)

モノレールの中ほど まるで箱庭のように開けた場所がある
西鎌倉の駅だ
まるで茶碗の縁のような半円形を描いてモノレールが走る
高さはビルの四階程度
周りは鎌倉の外輪山
その中にぽっかりと平地
この駅は鎌倉の超高級別荘地「鎌倉山」の入口だ
彼女の名は千葉麗子
東西線の大手町を降りてズンズン東京駅まで歩いて行く
私は小走りに後を追って話しかけた
”どこまで帰るの?” ”う〜ん ” 鎌倉”
ちょっと警戒したように言い淀んだ
”ラッキー 僕は江の島 腰越だよ”
モノレールは丁度帰りラッシュで混んでいた
麗子の隣りのつり革につかまった。
大学はどこ 東女(とんじょ)の二年生
ありゃ 俺より偏差値上だ
セミナーで裸でディスコ
ピンク色に上気したお椀の様な乳房も見た
偏差値なんてくそくらえ
どこで降りるの?
西鎌倉
(まさか鎌倉山じゃないよな)
これ以上聞けなかった
鎌倉山から下りてくる道が平地に出るところに
ロイヤルホストがあった
訪問販売がうまく行かない時 そこに入って
木間がくれに見える別荘を見上げて溜息をついたものだ
麗子はその駅で降りる
どこへ帰るのだ
”じゃ さよなら”
モノレールはあと三つで終点江の島
おれはとぼとぼ安宿に帰る小田急の江の島線のすぐ横だ
 (鎌倉幻視  つづく)
posted by 花蓮 at 19:25| Comment(0) | 日記

2020年01月19日

 鎌倉幻視  湘南モノレール

大船で東海道線を降り 湘南モノレールに乗る
終点は江の島だ
天井のレールから片腕一本でぶら下っている
真下を走る自動車に触れそうだ
田舎者には驚きだった
十年ほど前「気づきのセミナー」というやつに
のめり込んでいた。
その会場は東西線の佐賀町にあった
木場の運河が流れている東京下町である
心を解放するというので初日からディスコミュージック
大音量で掛けておどかすのだ
普段背広にネクタイのわたしには身がすくむようであった
三日間にいろんなカリキュラムが組まれている
自分の心の秘密を暴露する時間もある
五六人のグループに分かれる
綺麗な二十歳くらいの女の子が
だまりこくって 胸の内を明かさない
もちろんわたしも偽の悩みを言って
誤魔化した。
その子も五分以上黙っていたが
みんなにせめられて涙を流して
語りはじめた
”わたし父に犯されたの”
世に聞いていたがまさか目の前に
そんな体験を語るなんて
手先から背中に毛がそばだっていくのを感じた
女ずきのわたしも掛ける言葉を失った。

 (鎌倉幻視その一 つづく)
posted by 花蓮 at 07:45| Comment(0) | 日記

2020年01月07日

 ビブリア古書堂 箱根駅伝

今年ももう七日 もはや夏に目がけて一直線
時は戻せない
また青山学院が優勝してしまった
佐久長聖はどこかで走ったのだろうか
新しいケアハウスでひな人形みたいに髪を
切りそろえた可愛いこを見つけた
試しに釣り糸を投げてみたら
おもいもかけず強い引き
こんな綺麗な子なのにどうしてだろう
前のケアハウスで失敗しているので
直ぐには引かない
横顔を観察する
性格は明るく屈託がない
育った環境に瑕疵が無かったのだろう
損保のA子B子よりも一点の傷も無い
日本は広いものだ 広島にも松山にも
女はいる
しかし徳川将軍でも女全員の性格調査は出来ない
ましてや 現代 神が与えたもうた偶然の機会を
おし頂くより他はない
彼女は新潟市の縁の田んぼの中の中学
”わたし新潟から出たこともない”
昨日雪が降りそうな空を見上げて言った
ビブリア古書堂に出て来る「栞子」さんみたいに
難しく屈折していない
これぞ理想の越後の女だ
越後の女には青学になんの感想もない
それでいいのだ
箱根小涌園のかーブ といっても
ああ^あそこだ という胸の痛みもない
強羅の家族風呂で茂みとカモシカの様に伸びた
足を見る
 もはや七里ヶ浜のホームで鎌倉女学園の子を
探す必要もない
越後女の高い鼻 まるで鎌倉のようだ
強羅の湯けむりの中で横顔を見つめた

(ビブリア古書堂 箱根駅伝 おわり) 
posted by 花蓮 at 08:11| Comment(0) | 日記