<ライン河のレマンゲン鉄橋 守備塔>
戦前 ハルピンには東洋一と云われた
<大阿片窟>(あへんくつ)があった。
その事は なかにし礼の「赤い月 下」や
小説「大興安嶺 異聞」 「小説 ハルピン物語」
に出て来る。
それは”昔の話”と読みっぱなしにしていたのだが・・
翌日ホテルで五時に目が覚めた。
昨夜 苦悶に喘いだ美しい顔は
まだ静かに寝ている。
彼女を残して朝の散歩に行こうと
螺旋階段の豪壮なホテルの玄関を出る。
昼は土産を買えと付きまとう もの売りも達も いない
私は左側の美しい公園でなくて
昨日ホァンジェが激しく忌避した右側に曲がって行った
河岸の道は鉄道のガードに当たる
昨日書いた国境の満洲里への鉄路がある
そこには石造りの塔があった。
その周りは兵舎になっていて
解放軍兵士が体操をしていた
三階建てくらいの塔には、銃眼が開いている
<国境へ行く鉄橋を警護>しているのだ
むかしDVDで「レマンゲン鉄橋」と言う
ナチスと米軍の戦闘映画を見た事がある。
ライン河に掛かる鉄橋をナチスが破壊して
ベルリン方面に撤退しようとする
その守備塔の攻防戦だ
この満洲でも 松花江に掛かる長い鉄橋を
今も人民解放軍は守備していたのだ。
ガード下には数十人の守備隊がいた。
難癖をつけられないように
何気ないないような顔をして 観察した。
守備情報を上げる<帝国陸軍>もないのに
諜報者気分だ。
ガードをくぐると 景色は一変する
何だか荒(すさ)んでいる
あれっおかしいぞ
汚いだけなら 中国では見慣れている
それとも違う。
すさんでいると言う言葉が合っている
新潟の戦前の遊郭や東京吉原を歩くと
何か街が違う
<荒んだ>雰囲気を感じるが それに似ていた
つづく