夕方チャイムが鳴ったので戸を開けると中学の同級生のA君だ。
彼は定年前大手運送会社に勤めていて、
その支店が私の家の傍あった。
以前から数か月に一度遊びに寄ったりしていたのだが
ここ数か月会っていなかった。
もう20数年通ったスナックが古町と言って
新潟ブルースにも登場する?華街にあった。
彼をその店に紹介したら
大手会社なので、経費でどんどん使う。
二人とも馴染みになって良く通った。
ところが数年前、脳卒中になってからは
一度も行った事がない。
実は病気を理由に全ての付き合いを
辞めたのだ。
ただ、一人彼を残して
このまま死んで行くのかと思ったら
案外元気になってきた。
しかし人の付き合いは慎重に
細い隙間を開けて、広げない。
案外これが心地よいのである。
今日彼が珍しく訪れた。
小説の話をすると、今晩帰ったら「応募が受かる事祈るさ」
と言うのである。
中学以来の付き合いなので、お世辞は言わないのを
知っている、本気で言ったのだ。
彼の心使いに驚いたのと、これは五十年の積み重ねなのだ
と感謝した。