妻が朝とつぜん包丁とまな板が欲しいといいだしたので、使っているものを見るとホームセンターあたりで買った安物の文化包丁です。 わたしはむかし利器を扱っていたのを思い出し、いいものを買おうと金物屋に行きました。新潟三条市は全国的な金物の町です、しかし高級な刃物は無いのを知っていたので、店のおやじさんに「江戸物」といったら扱ってなくて「かみもの」の関の刃物を勧めてくれました。 ・ 東急ハンズでわたしが欲しい江戸物があったのを記憶してます。 わたしが商売してるころ「戦前の古い製鉄所で作った船の碇(いかり)」をその東京の鍛冶屋さんは買い取っておいて、包丁、ノミ、カンナ、などの刃物を作ってました。 なぜ古いイカリかというと、戦前の製造技術では若干の不純物が入っているのです。この不純物が鋼(はがね)の柔らかさを生みます。 大工、料理人が研ぐとき今の製鉄所の鋼は硬すぎるのです。家で使っているその鍛冶屋のペティーナイフは研いで半分の細さになっています。 この包丁が細くなるころ俺はこの世に居ないよなあ〜なんて考えてお金を払ったのを彼女は知らなかったでしょう。 包丁は切れすぎて彼女はさっそく手を切りました。
写真:むかし商売で飾った「特大江戸包丁」 *研ぎこんだ ペティーナイフ* これが ・ 細くなる頃は居ない 関物 包丁